こんにちは。oVice CEOのジョンです。2024年1月1日に「令和6年能登半島地震」が発生してから1か月が経ちました。被災された皆さまならびにそのご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、全国各地から寄せられている支援と復興に向けてご尽力いただいている皆さまに御礼申し上げます。
oViceの本社が七尾市にあるため、震災発生以降弊社にも多くの方々から心配のお声をいただきました。あたたかいお言葉の数々に御礼申し上げます。また同時に「分散型」で勤務することの意義、大切さを感じた1か月でもありました。
今回は、私が七尾で暮らしはじめた経緯から地震後の様子、そして被災地に所在する企業でありながら、早期に被災地を支援していくことを決意したきっかけなどを振り返ってご紹介します。
私は韓国出身で、七尾をはじめ石川県に縁もゆかりもありませんでした。そんな私が七尾に住もうと決心したのは、ある偶然の出来事がきっかけでした。
数年前、oViceの前に起業し経営していた会社を売却した私は、時間的な余裕ができたことから、もともと趣味だったドライブを楽しむようになりました。混雑しているところが苦手で、「できるだけ空いている道を走ろう」と思っていたところ、偶然たどり着いたのが七尾市でした。
私はこれまで多くの国を旅してきましたが、七尾市東部から富山湾越しに見えた立山連邦の景色が本当にきれいで、「こんな景色を見るのは初めてだ」と心から感動し、七尾市に移住することを決めました。首都圏のように人が多くなく、「災害が少ない」地域だと感じたことも、移住の決め手でした。
ここ数年、能登地方で何度か地震は起こっていましたが、今回のような大規模な地震が起こるとは思ってもいませんでした。
今回の地震発生当時、私は韓国に帰省していたため、実際に揺れを経験したわけではありませんでした。ただ、「近所の人たちは大丈夫か」「石川に住んでいる社員は無事か」「北陸に帰省している社員がいるかもしれない」「本社や自分の家は崩れていないか」など、さまざまなことが頭をよぎりました。年始休み真っ只中だったため、社員の安否確認にも少し時間がかかりました。
そんななか、ユーザーの皆さんやoViceが利用しているサービスの担当者の方などからも多くの心配の声をいただきました。
SNSの「X」では「oViceのCEOって七尾在住だけど大丈夫かな」「七尾市にいる社員は無事だろうか」といったメッセージをいただきました。また、oViceが利用しているサービスの担当者からは「支払いを遅らせるので、地震の対応を優先してほしい」といった趣旨のメールを頂きました。その頃には徐々に状況が把握できており、会社や近所の方々など、人的被害がなかったのは不幸中の幸いでした。そのため、安心してさまざまなことに対応できるようになっていました。
そのなかでも、多くの方々からいただいたメッセージは、良い意味であっさりしたものが多く、こちらからの回答を必要としないものだったことにも助けられました。皆さまが配慮してくださったのだろうと感じ、本当にありがたく感じました。
今回の地震で、真の事業継続計画(BCP)対策は「分散化」だと感じました。oViceは創業当初からフルリモートで、もともと社員が全国各地に分散していたことから、結果として1月4日の仕事始めにほぼ全員が業務を開始でき、サービス自体も平時とかわらず継続することができました。
弊社の本社は七尾市ですが、たとえ全員がフルリモート勤務だったとしても、全員が七尾市居住であったら、事業を継続することは難しかった可能性が高いと考えています。今回の地震であらためて、どこに住んでいても一定の自然災害リスクがあると認識するとともに、各自が離れた場所にいること、「分散」して勤務していることが、事業継続にとっての鍵であると感じました。
もともと年始に子会社のあるチュニジアへ渡航を予定していたこともあり、私が実際に七尾の自宅に戻れたのは1月16日でした。棚が倒れたり、ふすまがはずれたり、瓶が棚から落ちて割れていましたが、幸い家屋自体のダメージは少なく、半日ほど片付けるだけで元通りの生活を送ることができる状態まで復旧できました。ただし、水道など一部のライフラインが復旧していないため、現在は一次的に東京に避難しています。
これまでに発生した大規模地震では、被災地域にある企業で、被害を受けず平常通り事業を継続できたということは少なかったと思います。今回、弊社は幸いにもBCP対策ができていたことで、自社のサービス継続に加えて、自分たちがいち早く体制を整え、被災地を支援する側に回ることができました。これまでお世話になった石川県の皆さまへの恩返しの意味も込めて、さまざまな被災地支援を実施していきたいと考えています。
1月11日に、「ovice復興支援プラン」として皆さまから義援金を募る活動を開始しました。また、2月1日(木)からは、学びの場や同級生との交流の場がなくなり、不安を感じている子どもたちに向けてオンラインで自由に交流できる場「NOTOこどもの居場所」を開始しました。
oViceは今後も、被災地の復興状況をみながら、被災地にある企業の責務として、被災地の復興に向けた支援を行っていきます。