バーチャルオフィスサービス「ovice」は、2023年6月から新たに「窓ソケット」機能を提供し始めました。この機能は、異なる拠点やフロア、さらにはオフィスとoviceスペースを繋ぐことで、物理的な距離に関わらず容易にコミュニケーションを取れるようにするものです。
2023年6月28日には、「バーチャルオフィス活用の最前線」と題したイベントが開催され、oviceの「窓ソケット」を利用している株式会社コラボスタイルの実践例とその効果が紹介されました。
そのイベントで、藤井麻由氏(株式会社コラボスタイル コミュニティマネージャー)が登壇しました。藤井氏は、窓ソケットの活用例に留まらず、働き方の変化が同社のメンバーの心構えや行動にどのように影響を与えたかについて話されました。以下では、藤井氏の発表内容について詳しく紹介します。
コラボスタイルは「ワークスタイルの未来を切り拓く」を理念に掲げ、働き方をより良くするための2つの事業を展開している会社です。
一つ目の事業は、エクセルや紙で扱っているような申請書をペーパーレス、ハンコレスにするワークフローシステム「コラボフロー」です。
もう一つがワークスタイル事業で、働き方や制度設計のコンサルティングからオフィスデザインのほか、会員制のコミュニティスペースの運営を行っています。名古屋の本社では、スペースの半分を自社のオフィス、半分をコミュニティスペースとして活用しています。
そして働き方に関するサービスを展開する当社は、自社の働き方にもこだわっています。具体的には、場所にとらわれずに、「自分の力を発揮できる場所」で働くことを実践しています。メンバーそれぞれが出社かリモートワークを自在に選ぶため、リアルオフィスとリモートワークが混在するハイブリッドワークスタイルです。メンバーは日本国内では新潟から福岡まで、そして国外ではオーストラリアにもいます。現在の出社率は2〜3割です。
こうした取り組みが認められ、2023年にはGreat Place To Workの「働きがい認定企業」にも選ばれました。
そんな当社がoviceを導入した理由は「メンバー同士の相互理解を深めたかった」から。ハイブリッドワークでありながら、同時に風通しもよく業務のしやすい環境ではありますが、メンバーそれぞれが自由な働き方をしているからこそ、メンバー同士で関わりづらいのが課題でした。特に、チームを越えての関わりづらさがあったと思います。
ハイブリッドワークという働き方が定着するまでを整理すると、2013年に創業した当社は、2020年に本社を東京から名古屋に移転、この頃から働き方も徐々に変化していきました。
2021年には会員制のワークスペースをオープンするなど、オフィスを変革したのを機にoviceを導入しました。導入してから様々な取り組みをしたこともあって、開発チームを中心に利用率は上がっていきました。今ではoviceが一つのオフィスとして機能しています。
oviceを一つの拠点として定着させるために定めた使い方のルールや取り組みには、大きく分けて4つありました。
まずは原則として、出社したらoviceにログインするルールとしています。ただし、コミュニケーションは必ずしもoviceに限定していません。チーム、もしくはメンバーによってそれぞれ使いやすいツールがあるので、自分たちの使いやすいツールでコミュニケーションを取ってもらっています。
oviceを定着させるための取り組みの一つが、9時半から10時まで積極的に雑談する「コラボタイム」です。oviceを導入した当初は、まだツールに慣れていなくて話しかけるにもハードルを感じていました。コラボタイムを導入したことで、みんなが気軽に雑談できるようになり、今ではコラボタイムでなくても雑談できるようになったため、そのうち自然消滅していきました。
もうひとつの取り組みが「リフレッシュコーナー」です。朝の時間に限らず、リフレッシュコーナーであるバーカウンターにいることで、「雑談できます」「誰かと話したいです」という意思表示できる場所に。おかげで、そこにいるだけで誰かに話しかけてもらえるので、自然と雑談が生まれるようになりました。
oviceをリアルのオフィスに近づける取り組みとして「鍵のかかる会議室」と「鍵のかからない会議室」の2種類をレイアウトしました。
鍵のかかる会議室は、oviceのルームの一つで、オープンスペースに声の届かない個室環境です。鍵のかからない会議室は、会議室のデザインを施した一角に、ミーティングオブジェクトを設置しています。
なぜ、わざわざこのような会議室のデザインをovice上に用意したかというと、「椅子に座って、机を囲む」という体験ができるからです。こうした環境で話しをする形がとても心地良いという意見があったのです。
oviceならそのような気持ちに寄り添う“エモさ”を持った環境も準備できるので、そこでも工夫を重ねてきました。
具体的な取り組みも大事ですが、最も大事なのは社風だと思います。当社ではovice導入以前から、会社として雑談を大切にする姿勢を示していましたので、雑談を含めたコミュニケーションに向くoviceに、メンバーもスムーズに慣れていきました。
特には社内コミュニケーションしながら作業することも多い開発チームは、「自席で作業をしているときはログイン」のように積極的に活用してくれていました。このような動きも、コミュニケーションの活性化を後押ししてくれたように思います。
続いては、oviceを使ったコミュニケーションのエピソードを紹介します。
oviceの「窓」は、社内の様子をoviceの空間内に映しだすオブジェクトです。実際のオフィスやイベント会場の様子をスペース上へ配信したり、双方向にコニュニケーションをとることができます。
私たちの場合はオフィスに360°カメラを設置して、リアルタイムでオフィスの様子を配信しています。
なぜこの取り組みを始めたかというと、社内のコミュニケーションを平等にしたかったからです。私は人と人との関係性をつなぐコミュニティマネージャーの仕事をしているので、出社している人もリモートワークの人も同じようにコミュニケーションできる方法がないか探していました。
「場所にとらわれずに会話ができる」と窓機能を紹介され、β版を利用し始めました。実際は、導入したからといって目に見えるようなコミュニケーションの変化があったわけではありませんが、それでも「オフィスの様子が見える」ことに大きなメリットを感じています。
特に、離れた場所で働くメンバーにも、オフィスの様子や取り組みを「自然と」伝えることができることがメリットだと思っています。カメラの前をたまたま通りかかったメンバーを見て「あの人が出社してるなら、私もオフィスに行こうかな」となるきっかけにもなりますし、「今日出社してるんですね」という会話が生まれたりします。
またこれは仮定の話ですが、たとえばオフィスでイベントを開催する場合を考えてみると、事前にテキストで周知をしても、情報が流れていってしまうなどで見逃してしまう方も少なくありません。しかし、窓があればリアルタイムでイベントの様子を配信し、開催中の様子を見て気付いて、参加してくれる可能性もあると思います。
実際に実施しているイベントで、窓を活用したケースを二つ、ご紹介します。
一つ目は資料の右側の画像、「ドレスコードデイ」開催時のものです。「ドレスコードデイ」は月に一度、指定した色や柄の服や小物を身につけるイベントですが、オフィスに出社しているメンバーだけでなく、リモートメンバーも楽しんでくれています。カメラに映る皆さんの様子からすると、この月はチェック柄だったみたいです。
二つ目の事例として、会社の理念を社内浸透させるワークショップがあります。この時は思った以上に人が集まってしまっててんやわんやだったのですが、そんな会場の様子もリモートワークの方と共有できたので面白かったですね。
窓以外でoviceのよさを特に感じたのが、産休に入るメンバーがいた時のことです。リモートでなんとか見送りできないか、「頑張ってね」「待ってるよ」というメッセージを伝えられないか考え、oviceを使うことにしました。
その方のチームにミーティングを設定しておいて、本人には知られないように社内に周知しておき、みんなでミーティングに割り込んでもらったんです。集まったメンバーが自由に声をかけたり、スタンプを送ったりしました。
これは一般的なビデオ会議ツールでやろうとすると、次々とメンバーが入ってきて時間がかかったりして、あまりサプライズ感がないですよね。oviceなら、一瞬でみんなが集まってきて、割り込んだりできるので、サプライズ演出もできます。このサプライズ企画も無事成功して、気持ちよくメンバーを送り出すことができました。
働く場所が離れていても、oviceを使うことで仲間の声が聞こえたり、姿が見えたり、気持ちが感じ取れたりということが実現します。コラボスタイルでは、oviceを導入し試行錯誤を繰り返しながら、より「仲間とオフィスにいるような感覚」に近づけていったと話してくれました。
「オフィスの様子が見える」文字にするとたったそれだけのことですが、そこには「話す」以上に人と人の繋がりを生む効果があるのだと思います。言語化するのが難しかった「リモートワークでの孤独感」を埋めてくれる解決策になると信じています。
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