コミュニケーションの選択肢があるから“居やすい” オンラインフリースクール活用事例

2023-04-21
利用組織名

株式会社WIALIS(公式サイト:https://wialis.co.jp/

取材対象者
代表 中島由貴子さん
利用人数
約30名
企業・イベント概要

2022年11月に「不登校生の新しい居場所」として、オンラインフリースクールを開校。在籍校の出席扱いも目指せるオンラインの学校として、教員免許を持ったスタッフが登校や学習サポートを行う。バーチャルスクールで部活も自習もでき、授業以外のさまざまな体験を生徒に提供している。

活用のポイント
  • カスタマイズ可能なレイアウトを完全オーダーで、理想のキャンパスを実現
  • 全生徒とオンラインで簡単にコミュニケーションを取ることができるので、生徒たちの状況や性格、特徴を把握しやすい
  • アニメーションGIF画像でのキャンパス内装飾を季節に応じて準備。生徒たちが喜んだり、季節に応じた雑談の話題づくりに役立つ

さまざまな事情で学校に通えない不登校生徒に教育や交流機会を提供するフリースクールの現場でも、メタバースの活用が進んでいます。「不登校生の新しい居場所」を目指すWIALISは、oviceを使いバーチャルキャンパスを運営しています。ビデオ会議ツールを用いたオンラインフリースクールとの違いについて、代表の中島さんにお話をうかがいました。

オンラインの居場所づくりには、コミュニケーションが大きく影響

ーオンラインフリースクールWIALISは2022年11月に設立されています。立ち上げのきっかけをお聞かせください。

私は以前、テキストベースでのやり取りが中心で、たまにビデオ会議ツールを使用するオンラインフリースクールに勤めていました。そこでは、うまくオンラインでコミュニケーションが取れず、結果生徒が退会してしまうケースが圧倒的に多くなっていました。

こうした経験から、オンラインだけで不登校で悩む生徒をサポートするのは非常に難しいと感じていました。

一方で、同じく前職の経験から、不登校の生徒にとって「オンラインの居場所づくり」が有効であるとは思っていました。「ではどうすれば、オンライン上で居場所と感じてもらえるか」「スムーズにコミュニケーションを取れるか」を考えていた時に、oviceの存在を知りました。

そこで、oviceをキャンパスとするオンラインフリースクールの立ち上げを決意したのです。

ーoviceのどのような特徴が導入・立ち上げの決め手になったのでしょうか?

立ち上げの決め手になったのは、カスタマイズの自由さです。実際に当スクールのキャンパスデザインは完全オーダーでお願いしたので、理想のキャンパスを素敵に作っていただいて大変満足しています。

その他も挙げたらキリがありませんが、「リアルと近い感覚でコミュニケーションが取れる」「立ち話感覚で近づくだけで会話ができる」「空間内の他の場所の様子も分かる」といった機能面の特徴も、当スクールが求めていた条件とぴったり合致したのも大きかったです。

実は、oviceを導入するにあたり複数社比較検討したのですが、空間内のデザイン性の高さ・雰囲気のよさ・機能面のブラッシュアップへの期待値も含めて、oviceを選んで本当に良かったと思っています。

どんなシチュエーションでも、生徒が快適にコミュニケーションをとれるのがメリット

ー1日のうち、どのようなシーンでoviceを使いますか?

oviceを「バーチャルキャンパス」として開放しており、平日の開校時間(11時~16時)にスタッフ・生徒たちが集まります。多くの生徒が、11時にバーチャルキャンパスに登校し、15時近くまで過ごしています。

この場所では、リアルのフリースクールと同じように、勉強するもよし、趣味の時間にするもよし、グループ活動に参加するもよし、お友達同士で楽しむのもよし…と、どのように過ごすかは自由です。

実際は、きちんと学習計画に沿って勉強している生徒が多く、続いてクラブ活動等のグループ活動への参加が多くなっています。

この他、入会前の面談やスクール説明会、スタッフの会議でも使用しています。

▲オンラインフリースクールWIALISでの授業風景
▲オンラインフリースクールWIALISでのクラブ活動の様子

ーoviceを導入して、どのような変化や効果を実感されていますか?

全生徒とオンラインで簡単にコミュニケーションを取ることができるので、生徒たちの状況や性格、特徴を把握しやすく、とても助かっています。

oviceにはコミュニケーションの選択肢があると思っています。顔出しやみんなの前での声出しに抵抗がある生徒も、チャットを使うことで複数名や1対1などで対話することができています。シチュエーションに応じたコミュニケーションを取れる点が、oviceの大きなメリットだと感じます。

また、ビデオ会議ツールだと、参加者同士がその場所以外でつながるのが難しいですが、oviceでは自然発生的に気が合いそうな子同士が会話し始めて仲良くなったりもしていました。

ovice内でのちょっとした仕掛けにより、「ここは学校より居心地がいい」と思ってくれている気がしています。

運営サイドでは、「ちょっと声をかけたい」という時に、わざわざビデオ会議ツールを立ち上げる、電話をかけるのではなく、リアルに近い感覚で会話できるのが、スタッフ同士のコミュニケーションに役立っています。

▲スタッフミーティングの様子

ーどんな仕掛けを用意いただいてるのでしょうか。

oViceのスタッフの方にご提案いただいて、いくつか仕掛けを試しています。

1つ目は、アニメーションGIF画像でのキャンパス内装飾です。季節に応じて雰囲気や動きの異なる装飾をしています。かわいいキャラクターに生徒たちが喜んだり、季節に応じた雑談の話題づくりになったり、コミュニケーションに一役買っています。

これまでの装飾を一部ご紹介すると、ハロウィン、クリスマス、お正月、踊るゲームキャラクター、ヘディングするアニメ作品の主人公、芝生で転がりながら居眠りするパンダ…などです。女子数名がそのパンダでよく遊んでいます(笑)

「なんだかここ楽しそう」と思ってもらえるキャンパスづくりを心がけています。

2つ目はスタッフのおすすめ音楽紹介です。テーマに沿って、スタッフがお勧めの音楽を持ち寄り、oviceのあちこちに音楽(YouTubeのBGM再生)を仕込んで、気に入った曲に投票してもらっています。

WIALIS公式ブログ|【1月限定】WIALISのキャンパスのあちこちで、おすすめ音楽を聞くことができます♪

「気軽に入れる」から子どもたちの居場所づくりに有効

ー今後、フリースクールや不登校支援の未来はどうあるべきだと考えますか?

「毎日決められた学校に通い、席に座って一律の授業を一日中受けることが必須」といった古くからの義務教育の形が変わっていくことが、不登校の問題を解決するために一番重要だと思います。

ここ数年で文科省・教育委員会・学校現場の取り組みも非常に進化していて、やっと少し前に進み始めたと感じているところです。

学校での集団活動や学校教育になじめない場合に、学校以外の教育の場を自由に選択できるようになり、学校に通っていない子が「不登校」というカテゴリに括られなくて済むような社会になるのが、不登校支援の目指す先だと考えています。

リアルのフリースクールに居心地の良さを感じて、学校に通わずフリースクールで毎日過ごす子もいます。身体的事情や特性でリアルな場所に通うのが難しく、オンラインフリースクールに居心地の良さを感じる生徒もいます。

今の学校教育制度では、フリースクールをはじめとする学校以外の場所で学んでいる子が、進路選択において不利になってしまうことがあります。どのような学習の選択をしても、同じスタートラインに立ってで中学卒業以降の進路を選べる、そんな学校教育制度が必要だと考えています。

▲オンラインフリースクールWIALISでのホームルーム風景

ーそうした未来の実現のために、oviceが役に立てることはあるでしょうか。

バーチャルキャンパスを活用したフリースクールはいくつかありますしそこに興味を持ってくださる自治体もありますが、やはり「ハード面でのハードルが高い」と思われるようです。

スマホアプリの提供など、この半年でもすごくoviceの進化を感じていますので、さらにたくさんの方が気軽に使えるようになって、oviceが「気軽に入れるバーチャル空間」であること、その特長から自宅から出られない子どもたちの居場所づくりに有効であることがもっと広く認知されるといいなと思います。

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