ovice上に「第4のキャンパス」を構築。メタバース活用で、場所を問わず学生が学び、交流できる場を目指す

2025-02-12
利用組織名

武蔵野大学(公式サイト:https://www.musashino-u.ac.jp/)

取材対象者
DX・システム部 DX戦略企画課 副参事 森智恵さま、DX・システム部 DX戦略企画課 阪口英美子さま
利用人数
企業・イベント概要

1924年に仏教精神を根幹にした人格教育を理想に掲げ、武蔵野女子学院を設立。武蔵野女子大学を前身とし、2003年に武蔵野大学に名称変更。2004年の男女共学化以降、大学改革を推進し13学部21学科、13大学院研究科、通信教育部など学生数13,000人超の総合大学に発展。2019年に国内私立大学初のデータサイエンス学部を開設。2021年に国内初のアントレプレナーシップ学部を開設し、「AI活用」「SDGs」を必修科目とした全学共通基礎課程「武蔵野INITIAL」をスタートさせる。2023年には国内初のサステナビリティ学科を開設。2024年には世界初のウェルビーイング学部を開設。2024年の創立100周年とその先の2050年の未来に向けてクリエイティブな人材を育成するため、大学改革を進めている。

活用のポイント
  • 3つのキャンパスをメタバースに再現しつつ、通信教育用のオンライン独自の「第4のキャンパス」を構築
  • 自由な発想や新たな学びを得られる場を作るため、メタバースを活用して場所を問わず誰もが通いやすい環境を構築
  • 独自のマニュアル整備や動画作成、寄り添ったサポートで徐々にoviceに慣れるよう工夫
  • 「通信教育なのに、他の学生と自由に交流できて楽しい」という声も多数。学生のモチベーション向上にもつながる
  • デジタルの力を活用して個別最適な学修方法を提供し、新たな教育や価値を創出していきたい

東京に3つのキャンパスを有する学校法人武蔵野大学。2024年の創立100周年を記念し、既存の3つのキャンパスをメタバース上にも設けつつ、オンライン独自の「第4のキャンパス」を構築した「縁(えん)バース」の取り組みを行っています。

場所を問わず、さまざまな人が教育を受けられる環境を構築することで、自由な発想や新たな学びを手に入れ、教育のあり方を変えて行きたいと考えている同校。今回は、森智恵さまと阪口英美子さまに、oviceを活用したメタバースキャンパス「縁バース」の取り組みやそれを実現するに至った背景、今後の展望などについて伺いました。

3つのキャンパスをメタバース上に再現しつつ、新たなオンラインキャンパスを構築

ー 縁バースキャンパスの取り組みやその概要について教えてください。

森さま:本学は2024年で創立100周年を迎えました。それを記念したプロジェクトの一つとして、メタバース上のキャンパスである「縁バースキャンパス」を構築しました。これは、現在本学が有する3つの物理的なキャンパスをメタバース上にも設けつつ、オンラインのみの「4つ目のキャンパス」を作るという取り組みです。2年ほど前に構想し、創立100周年の記念日である2024年5月21日に正式にオープンしました。

▲各キャンパスへの入口が集約された「グローブ」。「千代田」「JIZAI」などをクリックすると、各スペースに移動できる。

縁バースの特徴は、「グローブ」に集約された各キャンパスへの入口から、さまざまな教室やコンテンツにアクセスできることです。グローブにある有明スクエア(有明キャンパス)、武蔵野スクエア(武蔵野キャンパス)、千代田スクエア(千代田キャンパス)、JIZAIスクエア(オンライン限定のキャンパス)への入口をクリックすると、それぞれのキャンパスのoviceスペースに移動することができます。さらにそのなかにあるリンクをクリックすることで、講義を受ける教室や、学科紹介などのコンテンツが集約されたスペースにアクセスすることができます。

これにより、所属しているキャンパスや、通学か通信かという学修形態を問わず、誰もがどこからでも本学の必要な情報にアクセスし、学んだり交流したりすることができるようになっています。

ー 縁バースの取り組みを行う前、課題に感じていたことは何だったのでしょうか。

森さま:本学は18歳〜22歳の学生を中心に、東京にあるキャンパスに通学する人向けの大学として拡大してきました。ただ、今後は異なる文化が入り交じり、多様な価値観を尊重しあえるような環境を実現することで、自由な発想や新たな学びを得られる場を作っていく必要があると考えていました。そのためには、東京で通学できる人たちはもちろん、地方在住者や外国籍の方、社会人で時間的余裕がなく通学が難しい方々もアクセスしやすい学修環境を整備していかなくてはならないと感じました。そうした考えを実現できるプラットフォーム作りをしたいと思い、メタバースを活用したキャンパスを構築することにしたのです。

ー そのなかで、oviceを選んでくださった理由を教えてください。

▲「武蔵野スクエア」のoviceスペース

森さま:没入感があるという点において、3Dのメタバースは魅力的に感じました。ただ、より多くの方に通っていただきやすいキャンパスにしたかったため、特別なデバイスを必要とする3Dのメタバースよりは、パソコンで簡単にアクセスできる2Dの方が、利用者の負担が少なく定着しやすいと感じました。

そうした観点で、いくつか2Dのメタバースを比較検討しましたが、oviceは複数の画面共有ができたり会議室の数や大きさも柔軟に調整できること、スペース自体のカスタマイズがしやすい点が良いと感じ、導入を決めました。

導入するからにはきちんと定着させたいと考えていたこと、また、大学教育におけるメタバースの活用を推し進め、新たな教育の形を作っていきたいと考えたため、2023年1月31日にoVice社との包括連携協定も締結しました。

マニュアルや動画で利用方法を伝え徐々に定着。のべ1万5000人が利用するまでに

ー 2024年5月から縁バースの運用を本格的に開始した後、どれくらいの規模で使われていたのでしょうか。

森さま:現在は主に通信教育部の学生を中心に利用されています。利用者の年代は40代〜50代が中心で、物理的なキャンパス同様、学修を開始する前に立ち寄り友人と会話したり、学生同士や先輩・教員との交流の場としてoviceを活用したりすることが多いようです。2024年5月に正式に開設してから、2024年12月末までで、のべ1万5000人が利用しています。

ー oviceは運用初期がかなり大事だと思いますが、初めはどれくらいの規模でどのように運用されていましたか。

森さま:本格的な運用開始前に1年半〜2年ほど実証実験期間を設けました。oviceをきちんと定着させるためには、まずはスモールスタートにした方が良いと考え、通信教育部の学生数十人と先生1人の勉強会から開始しました。そこからイベントや交流会など、徐々に活用の場面を広げていきました。

ー 運営するうえで、工夫したことはありますか。

阪口さま:数人規模の勉強会やイベントを複数回行い、課題を把握するようにしました。それをもとに、学内向けのマニュアルを作成して皆さんに共有しました。oVice社でもマニュアルを公開していると思いますが、学校での利用において、必ずしも理解しておく必要のないことはあえて削除し、シンプルに伝えるように心がけましたね。

▲操作説明のために作成した動画

マニュアルとあわせて、文字だけだと分かりづらいという方のために、学生に手伝ってもらいながら動画も作成しました。動画があることで、oviceの操作性はもちろん、oviceに入った時にどのように見えるのか、どこを押したら先に進めるのか、どれくらい近づいたら相手に話しかけられるのかなど、理解していただきやすくなったと思います。

また、初めのうちはできる限りイベントや勉強会に運営側も参加し、参加者にトラブルが発生したら都度対応するなど、寄り添ったサポートをするよう努めました。それとあわせて、学内の利用者に向けてTeamsでチームを作成し、oviceのアップデートについて共有しました。oviceは比較的頻繁にアップデートが入るので、それらを運営側で把握しつつ、きちんと把握しておいた方が良いもの、気にしなくても良いものなどをきちんと伝え、利用者の皆さんが情報過多で混乱しないようにしました。こうした動きにより、徐々にoviceの使い方を理解してくれる人を増やせたと思います。

ー スペースの設計に関して、工夫されたことはありますか。

阪口さま:スペース設計においては、活用シーンを具体的にイメージできていることが大事だと感じたため、スペースの設置を希望する学内の教職員との最初の打ち合わせにおいて、そこをきちんと確認し合うように心がけました。

まず、oviceを使ってみたいという人を募り、その人たちに対してどのように使いたいかのヒアリングをしました。その後、どのようなレイアウトにするのが良いのかの設計を行い、会議室の数などを細かく調整しつつ、実際にoviceスペースを解放して必要に応じてサポートするようにしました。

ー ovice定着のためには、多くの方を巻き込んでいく必要があったと思います。その際に苦労したことや、工夫したことはありますか。

森さま:oviceを使った縁バース構築の取り組みに関して、現場の職員や学生の皆さん、経営層で価値を感じてくださる方はいらっしゃいました。ただ、なかには「この取り組みに何の意味があるのか?」と疑問に思う方も一定数いたのも事実です。

縁バースキャンパスは法人として推し進めようとしている施策ではありましたが、なぜこれが必要なのか、どういった意図で実施しているのかをできる限り多くの方に理解していただく必要があると感じていました。そのため、例えば経営層が出席する会議に足を運んで、アバターの動かし方やミュート解除の方法などを直接伝えたり、oviceを活用したキャンパスツアーを行ったりといった、地道な活動を行いましたね。

また、操作方法はもちろん、縁バースを通じて何を実現したいのかを発信し続けることで、仲間を集めてプロジェクトを進めていくことも心がけました。

そうした甲斐もあってか、今では経営層の方々が学外の方に本学の取り組みを紹介するときには縁バースを積極的に案内するなど、「縁バースの取り組みを、法人としてさらに活性化させていこう」という、学内の意思統一が図れたような気がします。

通信教育なのに、他の学生と自由に交流できて楽しい。学生のモチベーション向上にもつながる

▲スペース上で新入生ガイダンスを行ったことも

ー oviceを活用して縁バースを構築したことで、どのような声がありましたか。

阪口さま:現在の利用者は通信教育部の学生が中心ですが、「通信教育なのに、他の学生の方と自由に交流ができて楽しい」という声を多数いただいています。

通信の学生の場合、これまでは自分一人で部屋で勉強をしなくてはならず、勉強をきちんと継続できるかは自分自身の力にかかっていました。ただ、ovice上で教育を受けたりイベントに参加したりすることで、自然と他の学生との交流ができるため仲間意識も生まれ、モチベーションの向上につながっていると感じます。

ー 縁バースキャンパスで印象に残っている出来事があれば教えてください。

阪口さま:定期的な交流会を開催していると、毎回新しい方が参加してくれるのですが、毎回のように必ず参加してくれる人もいます。初めてoviceを利用する方のほうがトラブルが起きがちで、基本的には私たち運営側がサポートするのですが、毎回交流会に参加してくれている「常連さん」が一緒にサポートをしてくれるようになったのがおもしろいです。徐々にoviceに慣れてきて、そこでの交流の楽しさを実感してくれている方が増えているのだなと感じますね。

森さま:ovice上でイベントをする際はいくつかトピックを用意し、好きなトピックに分かれて話をすることがあるのですが、oviceだとアバターの密集具合でどのトピックが人気なのかがすぐに分かるのでおもしろいです。また、積極的に発言する人もいれば、遠巻きに内容を聞いているだけという人もいて、それぞれの性格がわかるのも楽しいですね。

多様な学生が集まる環境をより多くの人に広め、大学の教育のあり方を変えていきたい

ー oviceを使った学びの場を作ることの良さは、どういったところにあると感じていますか。

森さま:コロナ禍を経て、教育分野でもオンライン活用が急速に進みましたが、色々なツールが乱立して使う側にとっては負担となってしまう部分も多いと感じます。oviceを使うことで、さまざまな情報をスペース上に集約できるため、色々な情報を迷うことなく確認しやすくなりますし、わざわざミーティングを立ち上げることなく自然と交流することができるのが良い点だと感じます。

また、キャンパスの大きさや教室の数を柔軟に変えられることも魅力です。物理的なキャンパスだと、一度作ってしまうと機能や立て付けを変えるのは難しく、それをしようとすると膨大な時間と費用がかかってしまいます。そうした変更が、oviceであれば柔軟にできる点が良いですね。自由度が高いので、利用者の声を集めて積極的に改善していくことができ、みんなでキャンパスを作っていっている感じがしておもしろいです。

ー 縁バースキャンパスの今後の展望について教えてください。

森さま:現在既に行っている取り組みとして、リアルな教室で授業を実施しながら、それをovice上でも見られるようにするというハイブリッド形式での授業を行っています。そうした取り組みもかなり好評なので、今後もさらに力を入れて取り組んでいくことで、通信教育に加えて、通学している学生の学び方も広げていけたらと考えています。

また、縁バースをさらに多くの方に知ってもらい、今まで本学の教育にアクセスできなかった、地方在住の方や海外の方にも広く来ていただけるようにしたいです。本学としては、「デジタルの力を活用して個別最適な学修方法を提供する」ということを目指しているため、縁バースを通じた学びや交流の提供により、新たな教育の形を作ったり、大学教育の発展に貢献したりできればと考えています。

こちらの事例も、あわせて読まれています。

もっと見る

無料トライアル

14日間の無料トライアルで
実際の機能をお試しいただけます

試してみる

oViceの資料はこちら

初めての方でもよくわかる
oVice資料3点セット

資料ダウンロード

バーチャルオフィス ovice (オヴィス) は、
チーム単位から気軽に始めることができます

icon-trial

無料トライアル

14日間の無料トライアルで
実際の機能をお試しいただけます
試してみる

ovice 料金プラン

全プランで機能制限なし・初期費用不要・
充実の導入サポートも無料です。
料金を見る
icon-briefing

導入前のご相談

ご導入前の不安や疑問に、
oviceスタッフがお応えいたします。
相談する