一般社団法人 蔵前工業会(公式サイト:https://www.kuramae.ne.jp/)
東京工業大学の同窓会団体。卒業生8万人が所属し、在校生の活動支援や卒業生同士の交流促進を行う。
一般社団法人 蔵前工業会は、東京工業大学の同窓会組織です。卒業生同士の交流や在校生を支援する場を長年提供してきました。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、オンラインでの活動を開始。現在はoviceを駆使してさまざまな活動を行っています。
今回は、活動の拠点となる「くらまえバーチャルプラザ」、バーチャル上で行われた「卒5年同期会」「就活イベント」の3つについて、お話を聞いてきました。
辻野:
蔵前工業会は東京工業大学の全学部にわたる同窓会団体です。合計8万人の会員が所属しています。
会員から集めた会費をもとに活動していて、現役学生のサークル活動や留学の支援を行ったり、技術資格の取得サポートや就活支援、小中学生向けの教室運営など多岐に渡る活動をしています。
それまでは専用の談話室や事務所を使って交流をしていたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、オンラインでの活動を開始しました。現在は「くらまえバーチャルプラザ」と名付けたoviceのスペースを活動拠点にしています。
井上:
くらまえバーチャルプラザは、蔵前工業会の会員が24時間いつでも利用できるバーチャル談話室です。
かねてより、イベント開催時にかぎらず、リアルな談話室に集まって卒業生や学生がカジュアルに交流する機会はたくさんありました。しかし、今のご時世なかなか対面で集まることができません。
当会でoviceを初めて使ったのは「卒5年同期会」でしたが、その際「oviceは定常的に使えるかも」という手応えを得ました。その後、一部のメンバーでお試し期間を設けてoviceを使ってみたのですが、結果同窓会の運営に幅広く使えそうなイメージが湧き、2022年6月に行われた全体総会で「くらまえバーチャルプラザ」をお披露目しました。
井上:
正直、当初はあまり盛り上がってなかったですね。ネガティブな反応というよりは「イメージが湧かない」という戸惑いだったり、魅力的に思えなかったりということがあったのだと思います。
そこで、同窓会の中のコミュニティのキーパーソンに声をかけ、利用者を増やすための取り組みを進めました。「一度体験したら活用イメージを持ってもらえるのでは」という考えもありましたので、体験会を3度ほど開催しています。
体験会では、多くの方が使い慣れているビデオ会議ツールを使ってoviceについて説明し、その後バーチャル空間に誘導し実際に操作しながら再度、理解しにくかったところがないか確認しました。毎回10人ほど来てくれ、少しずつ浸透が進んだように思います。
1回ハードルを越えると、利用するようになるケースが多いように思います。oviceなら、ビデオ会議ツールと違って予約もいらないしリンクを探す必要もないので、こうしたハードルの低さはやはり評価されました。
「立食パーティーのようなもの」という表現が会員にとっては一番ピンとくるようでした。今では毎月50-60名の会員が使ってくれています。
東:
「卒5年同期会」とは名前の通り、学部卒業から5年のタイミングで開催される同窓会です。私は2022年開催の幹事を担当していました。
この懇親会は、卒業生同士の交流を目的に開催されています。会では、グループに分かれた自己紹介タイムから始まり、クイズ大会や自由歓談などが定番でした。
ー卒業後に同窓生と会話することはとても刺激的で貴重な機会ですよね。どういう経緯でoviceを使うことになったのですか?
「卒5年同期会」は、新型コロナウイルス拡大の影響で2019年を最後に2年ほど開催できていませんでした。先輩たちは延期という判断をとらざるをえなかったのですが、自分達の代はオンラインでもいいからなんとか開催したいと思っていたんです。
開催のためのオンラインツールを検討していたところ、幹事メンバーの中の1人に、会社でoviceを使っている人がいました。話を聞いてみると、自由にバーチャル上を移動できて、気軽にコミュニケーションを始めることができる。これは同窓会に使えそうだ、と直感し、導入に至りました。
ビデオ会議ツールの場合、参加者が当日話す相手が固定されてしまったり、限定的だったりということを懸念していました。
oviceでは、こうした心配がないように思いました。他の人の話に途中から入ることもできるし、自分から複数人の人に話しかけにいくこともできるからです。
近くまでいくと音が聞こえて、遠ざかると声が消えるという仕様もかなりリアルに近くて、とてもよかったです。
自分がいない場所の様子がわかって、話が盛り上がっているかどうかを把握できるのは幹事としてもかなり助かりました。oviceを導入してよかったと思います。
向井:
毎年3月から、学生と企業が集まって就活イベントを開催してきました。2020年はコロナで中止、2021年はなんとかビデオ会議ツールで開催しました。
2022年はコロナも落ち着きそうだし、「今度こそリアルで」と期待していたのですが、引き続きオンラインで開催する運びに。
2022年の就活イベントは3月と4月、2回に分けて開催しました。その頃には、卒5年同期会の準備などを通じて、蔵前工業会の中では「どうやらoviceがいいらしいぞ」という空気があったので、3月開催分で使ってみることにしたのです。
昼の部はビデオ会議ツールを使って説明会を行い、17時以降の懇親会ではoviceを使うという進行にしました。
懇親会用のスペースでは、企業ごとのテーブルを作って、学生たちには話を聞きたい企業のもとに集まってもらう形をとりました。この形ですと、企業・学生ともに話がしやすいことがわかり、4月は説明会の部分からoviceを使って開催することにしたのです。
向井:
おっしゃる通りで、準備にはかなり時間をかけました。学生への説明を行う各企業が、当日oviceをうまく使えないということがないよう細心の注意を払いました。
3月の懇親会の際に、会社のパソコンからだとログインできないという声がいくつかあがりました。oviceに入れないという方には個人のスマホからログインしてもらい、資料の投影は我々スタッフが行うという緊急時対応を準備し万全を期して開催しました。
また、参加予定の50社すべての担当者を対象に、ovice操作の説明会を開催しています。
向井:
説明会により、当日は問題なく操作いただけていました。
当日は、oviceの案内板に企業のプレゼンの時間割を載せて、参加学生もそこを見て企業のブースに盛んに移動していました。
「対面に限りなく近く、有益な時間だった」「ロビーでぶらぶらしている学生に声をかけられるのは、かなり新鮮な体験だった」など、企業からも大好評でした。
学生からも「ビデオ会議ツールよりも手軽に企業の人と話せてよかった」という声をもらっていて、oviceを使った開催は続けていこうと思います。
実際来年(2023年)の3月に企画している就活イベントは400社近い企業の参加が予定されています。今からでも準備を進めて、絶対に成功させる意気込みです。
辻野:
しばらく使ってみて感じるのは、ビデオ会議ツールなどのオンライン体験とリアルのちょうど真ん中にあるツールだということ。オンラインの良さを維持しつつ、リアルと同じようなコミュニケーションを取ることができますね。オンラインコミュニケーション特有の「誰から話し始めるか」という緊張感を感じることなく、気持ちが和らぐものだなと思っています。
また、先ほどお話した就活イベントの開催についてですが、ビデオ会議ツールで同じことをするとなると、1個ずつビデオ会議ツールを立ち上げる必要があり、40人ほどの人数を確保しないと運営できないんです。そういった意味では、何かオンラインイベントを行う時の運営の負担をかなり下げてくれて、非常にありがたい存在だと思います。
向井:
やはり対面に近いのが一番ありがたいですね。オンライン上でこじんまりと意見を言い合える空間は、今のところかなり珍しいと思います。
井上:
同窓会のようなゆるいつながりを維持することにフィットしてるツールだなと思います。目的もなくたまたま会って立ち話する、大きなイベントがなくても偶然のつながりが生まれる。バーチャルプラザにちょくちょく卒業生が寄っていくのを見て、oviceを入れてよかったなと思います。
東:
画期的なシステムだな、と思っています。SNSのように、より日常的に使えるカジュアルなサービスになったらもっと世の中が面白くなりそう、と勝手に想像しています。