1970年に大東京火災海上保険株式会社(現:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)の代理店として創業、1986年には損害調査事業をスタートした。2011年から調査研究事業分野に進出し、行政からの依頼を中心に多岐にわたる分野の調査研究を行っている。市民向けの意識調査や実態調査、行政機関の計画策定に向けたコンサルティング業務、実験・解析など、多様な課題やシーンに対応するソリューションを提供。
全国に25事業所を構え、約100名の社員がいる株式会社ジック。現在は社内の85名ほどで、oviceを業務進行やコミュニケーションに活用しています。導入を担当した企画営業課 課長 岸本さまに、導入までに考えたこと、実際に行動してみて気付いたことなどをご紹介いただきました。
ーまず初めに、岸本さまについてお教えください。
企画営業課の課長を務めています。いわゆる中間管理職で、社内で使うツールについて、決定権はないものの、導入提案をできる立場ではあります。
ー貴社はどのような課題に直面していましたか?
課題は二つありました。まず一つ目は、「事業所間のコミュニケーション」です。
当社には全国に25の事業所が存在し、各地方に分かれています。社内には当然、直接会ったことのない社員も多くいます。各地方で採用されて、その地方以外に転勤とならないケースもあるからです。
こうした中、社員間の主な連絡手段は、「メール」「内線電話」「テレビ会議システム」が使われていました。ただし、テレビ会議は同時間に一会議のみ利用可能で、オフィス内で場所の移動も必要でした。
これらの連絡手段の短所は、「メールは即時性がない」「内線は一対一でしか話せない」「テレビ会議は同時に複数を開催できない」でした。しかし、コミュニケーションのスピードを上げるためにも、複数で気軽に素早くコミュニケーションを取る手段を見つけたいと考えていました。
もう一つは「DXの号令」です。
中小企業の“あるある”かもしれませんが、トップダウンで「DXのための取り組みをせよ」という号令が発令されました。そして、「デジタル化によりビジネスの仕組みを変える、結果を出す」というゴールまで、かなりのスピードで到達することが求められていました。
DXというと、総務・経理系のツールを想像する方もいるかもしれません。これらは必要性が高く効果もとても大きいのですが、専門外の方の目線で見ると、なかなかわかりづらいところがあると思います。
事業プロセス自動化技術の一種であるRPAもDXの王道の一つではありますが、業務の棚卸しなど事前に対応すべきことも多いこと、そしてただ導入するだけでは効果が出ないことから、この「DXの号令」に対するアクションにはふさわしくないと考えました。
そのため、「どんな人にも分かりやすく=派手で、課題を解決している=効果がある」コミュニケーションツールこそ、DXの号令への解となると考えていました。
ーoviceはそのような目的で導入を検討いただいたのですね。岸本さんはoviceに対してどのような印象をお持ちでしたか?
実は、私自身がoviceをいつ初めて使ったのか覚えていないのですが、「楽しかった」という記憶は強く残っています。
何が楽しかったのか振り返ってみると、声の届く範囲が見える点に強く惹かれていたように思います。自分の影響の及ぶ範囲が現実世界とリンクして明示されているような、そんな感覚になり、普段見えないものが見えることの面白さを感じました。
ー興味深い着眼点です…! 導入にあたって何を定めましたか。
新しいツールの導入にあたって私が考えたことは、まず「自分が納得いくかどうか」です。自分が納得していないものをお勧めすることは難しいと思います。
次に考えたのは、oviceが組織内に定着するまでのストーリー設計でした。
ストーリー設計において、重要だと考えたのは「誰から伝えるか」でした。
そして自分が体験した感覚を相手にも同様に体験してもらえるように何ができるのかを考えました。具体的には、「どのようなシーンで活用できるか」を考えました。
さらに、「第一段階の達成指標は何とするか」を考えていきました。
ーストーリーを用意されたのですね。興味深いです。
定着するかどうかを左右すると考えられる第一の指標には「イノベーター理論」を活用しました。イノベーター理論によれば、新しい製品やサービスが普及する際には、キャズム(溝)があり、これを乗り越えることができれば市場が拡がると考えられています。
そしてキャズムを越えるためには、市場全体の16%程度の人が新製品やサービスを利用する必要があるといわれています。
当社の従業員は100名程度ですので、16名がoviceを使ってくれるようになれば、第一段階をクリアしたことになると考えていました。
ーoviceを使い始めたスタートのタイミングでは、何名がoviceユーザーとなったのでしょうか。
呼びかけを通じて、若手社員が8名くらい、役職者が10名くらい、oviceを使うことが決まりました。
この方たちに、とにかく体感してもらうということを意識してコミュニケーションを図りました。私が体験した「楽しさ」を感じてほしいと思っていました。
ー皆さまはoviceのスペースに入室して、どのように体験を積まれていったのでしょうか。
若手社員は、入室すると自分でいろいろな場所に移動をして、お互いにリアクションをして、すぐに馴染んでいました。積極的な態度をみて、彼らが楽しんでくれていることと感じました。
ー役職者の皆様についてはどのような対応をされましたか。
役職者の方を巻き込むことは非常に大切だと思っていました。こうした方が利用しなければ、oviceの定着を達成できなくなると考えていました。
そのため、本当に丁寧に説明しました。特に、画面共有や会議室の機能をしっかりと理解していただくように努めました。
そしてとにかく使ってもらうことを意識しました。社内の研修や勉強会といった機会には、oviceを使ってもらうようお願いしました。
役職者の方もDXの号令については当然認識していたため、こうした指針に添った行動を意識されていたように思います。
ーoviceの操作に慣れない役職者の方もいらしたのではないかと思います。実際の説明はどのように進められたのでしょうか。
月に最低2回は説明の機会を確保しました。その際、一回目は操作説明、二回目は研修の場に使っていただく実践のような形でお願いしています。実践の場では、横にサポートできる方がついて進めています。
操作説明では、少し使えばすぐoviceの操作に慣れる若手社員が、役職者を囲んで説明するような形をとりました。
1人の社員を全員で囲んで、「わちゃわちゃ感」を出すことに、良い効果があったように思っています。
これはどちらかというとあまり論理的ではなく感覚的な感想だと思うのですが、若手社員のような自身より若い社員が楽しそうに使っていると、役職者の感覚として、無下にはできない、しっかり耳を傾けてあげなければという思いになると思うんです。
そのため、oviceの活用に関しては、若手社員が発信者となってもらえるように頑張りました。
ートラブルはありましたか? また、どのように対処されましたか?
役職者の方には慣れないながらも使っていただけましたが、いくつか日常的なトラブルもありました。
よくあったのはマイクの設定ができていない、スピーカーの設定ができていないといった音声系のトラブルです。双方の音量設定やブラウザの許可を確認することで解決しています。
また、「ログインできない」といったこともありました。そもそも会員登録ができていないというように、手前の部分でつまずいていることもあるので、視野を広げて原因を探すことも有効だと思います。
あとは「チャットの独り言」問題ですね。宛先をつけたつもりでチャットをしたら、宛先が付けられていなくて独り言のようになってしまっていることも、よく見られる光景です。こうした場面に遭遇した時は、優しくそっと指摘してあげるのが好ましいかと思います。
「画面が止まる」といった事象に悩まされるケースもありますが、これについては、回線の問題である可能性が非常に高いので、専門部署と事前に相談した方がいいと思います。
ーoviceを導入して、どんな効果が得られましたか
研修においてとても効率化の効果を感じました。画面共有が誰でもできるという仕様が大変役に立っています。
事務所をまたいでの朝礼、打ち合わせの頻度や質も上がっています。
これまで社内になかった「チャット」もコミュニケーションに役立てています。
ー導入前と特に大きく変わったと感じる部分はございますか。
Web会議がいつでもできるようになったことがとても大きいです。自席からオンラインの会話やWeb会議を始めることができるようになりました。
そして、「離れた場所にいる複数名でコミュニケーションができる」というのも非常に大きな変化だと感じています。
前述したように、これまでは内線を使って一対一で会話をすることが多かったので、本当に違いを感じます。
また、役職者を囲んでのコミュニケーションというのはoviceがなかったら絶対実現しなかったものです。
ー他に便利になったことや良かった点があれば教えてください。
ヘッドセットを使ってoviceを利用しているので、会話をしながら手が自由に使えるのは発見でした。内線を使っていると、どうしても片手がふさがってしまうので、便利だと思います。
2023年のクリスマスにはovice内を装飾するための素材が提供されたので、季節感のある空間作りをしました。このようにoviceは、楽しみつつ環境を整えることができるのもとても良いと感じています。