アルティウスリンク株式会社(公式サイト:https://www.altius-link.com/)
2023 年9 月1 日にKDDIエボルバ、りらいあコミュニケーションズの2社が経営統合。「デジタルBPOで高みを目指し信頼のパートナーへ」をビジョンステートメントに掲げ、2社がこれまで培ってきたノウハウや、約 57,000 人の人財の力を結集し、お客様企業の課題解決に貢献、デジタルBPOサービスの国内・海外への展開を目指す。oviceを活用するITS 企画本部は、2009 年のITソリューション事業発足以来、法人向け広域ネットワーク/サーバシステムの提案からコアネットワークの構築・運用、大規模システムの上流工程・開発・運用、システムインテグレーションと事業領域を拡大し続け、現在では幅広い法人のお客様の IT 戦略をサポートしている。
KDDIエボルバ、りらいあコミュニケーションズの2社が2023年9月に経営統合し、発足したアルティウスリンク。2024年4月に策定された「パーパス&バリューズ」を、いかに社内に浸透させていくかが組織の一体感醸成への重要なテーマとなっていました。多様な働き方が進む中で、社員同士がパーパス&バリューズについて楽しく語り合い、理解を深める場をどうつくるか――。その解決策として選ばれたのが、oviceでした。今回は、同社のovice導入の背景と活用の工夫について伺いました。
ー2社の経営統合後、どのような課題がありましたか。
宇藤さま:経営統合前は、2社それぞれに独自の経営理念がありましたが、統合を機に新たに社会的存在意義を定めたパーパス、その実現に向けて共通の価値観を定めたバリューズが策定されました。今後、会社としての一体感を高めながら業務を進めていくためにも、この新たな指針を全社員にしっかりと浸透させていく必要があると考えました。
ただ、それぞれの会社で長年親しんできた理念があるなかで、「新しい価値観に対して抵抗を感じる」「どう理解して日々の業務に活かせばいいのか分からない」と戸惑う社員も多く見受けられました。
ーoviceを導入される前は、パーパス&バリューズを浸透させるためにどのような取り組みをされていましたか。
宇藤さま:以前は、ITS企画本部内で朝会やワークショップを実施する際に、パーパス&バリューズを唱和する取り組みを行っていました。言葉として繰り返し発することで、社員に自然と馴染んでもらうことを狙いとしていたものです。
しかし、パーパス&バリューズの推進メンバーから、「暗記が目的になってしまっている」「形式的で負担に感じる社員もいるのでは」といった声もありました。
さらに当社では、出社日数を一律に定めるのではなく、各部署やプロジェクトの特性に応じて、社員自身がテレワークなどの働き方を選べるスタイルを採用しています。この柔軟な勤務形態は、自律性を重視する当社の文化にも合致している一方で、「全員が一堂に会してパーパス&バリューズを共有する」といった機会を設けにくいという課題も抱えていました。
ーその中で、oviceを知ったきっかけは何でしたか。
岩﨑さま:oviceの導入を検討し始めたきっかけは、新たな採用手法を模索していた時期に、採用候補者とのコミュニケーションの質を高める方法を探していたことです。オンラインでも会社の雰囲気をしっかり伝えられる場をつくりたいと考え、10社以上のバーチャルオフィスサービスを比較検討しました。
その中で参加したoviceの説明会が、強く印象に残りました。レイアウトの美しさに加え、マイクオブジェクト機能によって登壇者が演説しているような演出ができたり、ovice上に動画や画像を自由に配置できる柔軟性など、さまざまな場面で活用できる可能性を強く感じました。
「この仕組みを使えば、社内の採用活動やイベントを、効果的に開催できるのではないか」とひらめいたことが、導入を本格的に検討するきっかけとなりました。
ー導入の際、他のサービスとも比較されたと伺いましたが、最終的にoviceを選ばれた理由は何でしたか。
岩﨑さま:2Dや3Dなど、さまざまなバーチャルオフィスを試しましたが、自分たち独自の設計がしやすいと感じたのが、ovice導入の決め手です。
3D系のサービスは見た目のリアルさは魅力的でしたが、実際に操作していると画面酔いしてしまったり、動作が重かったりと、実際の業務で使い続けることを考えると懸念点も多くありました。その点、oviceは直感的に操作でき、動作も軽く、必要な機能が過不足なくそろっている印象でした。
また、oviceの操作感の良さや機能はパーパス&バリューズの浸透にも有効だと考えました。私たちが社員に浸透させたいと考えているパーパス&バリューズは、頭で理解することに加え、共に語り合うことで“腹落ち”していくものだと思っています。そうした対話の場を作るには、空間を自由にカスタマイズでき、リアルに近い形でコミュニケーションできる空間が必要でした。
oviceでは、アバターを使って誰がどこにいるかが分かることに加え、近づくだけで声をかけることができます。気軽に雑談や相談ができる環境を構築することで、パーパス&バリューズについて自然と話しやすくなると感じました。
ーoviceを活用したパーパス&バリューズの浸透施策で、工夫されたことについて教えてください。
唐澤さま:パーパス&バリューズをもっと楽しく、自然に理解してもらいたいという思いから、エンターテイメント性のある空間づくりに取り組みました。具体的には、ovice上に「パーパス空間」と「バリューズ空間」の2つを構築し、通常の執務スペースからワンクリックでアクセスできるように設計しました。
パーパス空間とバリューズ空間は、AIを活用してオリジナルの背景を制作し、普段仕事場では味わえないような世界観を演出しています。それにより、参加者に普段の生活から離れて想像力を働かせながらパーパス&バリューズについて主体的に考え、楽しくパーパス&バリューズへの理解を深めてもらうことを目指しました。
「パーパス空間」はテーマパークをイメージし、私たちのパーパスである「そのつながりを、もっとつよく。うつくしく。おもしろく。」の4つの言葉をそれぞれのエリアに分けて展開しています。公式コンテンツの展示やワークショップエリアも用意し、自然にパーパスと触れ合えるようにしました。
「バリューズ空間」は、もしあなたが全く知らない場所(宇宙空間)に飛ばされ、11種類のバリューズを信条とするキャラクターたちと“宇宙で共生することになったら”というストーリー設定のもとで体感型スペースとして構築しました。文字で表現されていた11種類のバリューズに込められた価値観を生成AIで制作した動物キャラクターとストーリー映像を通じて、感覚的に理解できるようにしています。
ーアバターを使った「ラジオ風の動画」を発信されたと聞いていますが、どのような内容でしょうか。
唐澤さま:パーパス&バリューズの浸透を検討する際に、全社で実施したエンゲージメントサーベイの結果を参考にしました。パーパス&バリューズに関する設問で「上層部からのメッセージの発信が重要」という声がありました。しかし、上層部からの発信は受け取る側に緊張感を与えたり、形式的で堅苦しく感じられがちです。そこで、アバターを使ったラジオ風の動画を制作し、oviceに集まった参加者に向けて画面共有機能を使い放映しました。楽しく視聴しながら、パーパス&バリューズへの理解を深めてもらえるよう工夫しました。
この「アバターラジオ」は、上司が直接話すよりもフラットに受け取ってもらえるという狙いもあります。アニメーション形式にしたことで、親しみやすさが生まれたのか、「明るいトーンで話してもらえたので聞きやすく、一日が楽しくなった」という、うれしい声も届きました。
ーそれ以外に工夫されたことがあれば教えてください。
唐澤さま:oviceの空間作りや、ラジオ、ワークショップのほかに、パーパス&バリューズをビジュアル化した絵本風パンフレットを制作しました。親しみやすくすることでパーパス&バリューズをいつでも振り返ることができるようにしています。また、このパンフレットのリンクをovice上にも置くことで、すぐに確認ができるよう工夫しました。
ーワークショップを含むパーパス&バリューズ浸透施策の実施後の反応や変化で、印象に残っていることはありますか。
岩﨑さま:oviceを活用して楽しくパーパス&バリューズについて学んでもらえたことで、「また実施してほしい」といった声が多く寄せられました。実際、施策を実施した後に行ったアンケートでは、施策実施前と比べ「良い印象を持った」と回答した割合が、パーパスは62%から81%に大幅に上昇し、バリューズは71%から76%へと変化し、全体的に数値が改善したことが非常に印象的でした。
参加者の中には、他者の考え方を取り入れることで新たな視点に気づいたという人も多く、単なる“パーパス&バリューズの理解”にとどまらず、自分自身の価値観のアップデートにもつながったのではないかと思います。
ー今後、oviceをどのように活用していきたいとお考えですか。
宇藤さま:今回の取り組みを通じて、ovice上での空間づくりやイベント設計に関するノウハウも少しずつ蓄積されてきました。今後はパーパス&バリューズの浸透に限らず、社内外問わず、さまざまなシーンでoviceを積極的に活用していきたいと考えています。
たとえば、新入社員同士が気軽に会社の雰囲気に触れられるような場や、エンジニア同士のカジュアルな交流会などにも活用していきたいと考えています。さらに、キャリアを一緒に考える「キャリアカフェ」のようなイベントや、事業部ごとの方針説明会などにも、ovice活用の場を広げていってみたいです。
oviceの魅力は、場所にとらわれず、双方向で温度感のあるコミュニケーションができる点にあります。だからこそ、出社・リモートに関係なく、社員同士がつながれる環境を整えていくための重要なプラットフォームとして、引き続きoviceを最大限に活用していきたいと考えています。