株式会社エンリッション
全国の大学生を対象に、キャリア支援カフェ「知るカフェ」を運営。企業には学生との早期接点づくり、学生にはキャリア支援をサービスとして提供し、全国に20店舗を持つ。(知るカフェ)
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株式会社エンリッションが運営する「知るカフェ」は、企業と大学生を繋げることを目的にしたカフェです。全国の大学内・大学付近に20の店舗を構えていますが、2022年4月に「メタバース店」を新設しました。
「知るカフェ」の取り組みと、「メタバース店」運用の工夫についてお話をお聞きしました。
<参照>知るカフェ:メタバースで上位校採用を実現する、新たなプラットフォームをリリース!
知るカフェは、学生の将来の選択肢を広げることを目的にしたカフェです。学生と早期接点を持ちたい企業様からスポンサー費をいただき、学生はドリンクやWi-Fiを無料で利用することができます。
定期的に「Meetup」というイベントを開催していて、企業の担当者と学生が出会う場を提供しています。
学生は就活生に限らず1年生、2年生から参加できるので、大学関係者以外の社会人と接する機会を通じて、働き方について考えるきっかけとなり、将来の選択肢を広げることにつながっています。
企業は、1~2年生のうちから学生と交流を重ねることで、企業について正しく理解してもらえる機会となり、また面接とは異なった、肩に力の入っていない学生の様子を知ることができます。
これまでのところ、全国の大学の近くや学内に、計20の店舗を構えています。店舗運営はすべて学生スタッフが担っており、店頭に立つのはもちろん、店長まですべて学生です。
2022年の2月ごろ、弊社代表の発案でメタバース上に店舗を作ろうという動きが始まりました。
コロナも収まってきて、リアル店舗の客足も徐々に戻ってきてはいたのですが、それまではしばらくオンラインを中心にMeetupを開催していました。
オンライン上でも、想像よりも企業と学生の接点の提供はスムーズにできてはいました。
ですが学生にとって、授業など全てがオンライン化されている中、ビデオ会議ツールではどうしても「繋がりを感じづらい」という声が出ていました。
一方で、オンラインには物理的制限をなくし、広くいろんな人とコミュニケーションをとれるというメリットがあります。企業と学生間はもちろん、繋がりが希薄化しつつある学生のため、リアル時と同じように繋がりを感じることができて、かつオンラインのメリットを享受できる店舗運営を考えた結果、「メタバース店」の構想が生まれました。
ーメタバースのサービスがいくつかある中で、oviceを選んでいただいたのはなぜですか?
2021年の夏に、社内向けの交流会をオンラインで開催しました。当時、社員や学生スタッフが対面でなかなか会えておらず、組織の一体感が失われつつあったんです。コロナ以前は、エリアごとに集まってのミーティングやクリスマスパーティーなど一同に介する機会を頻繁に設けていたので、オンラインでの交流会を開催しよう、という案が出ました。
その交流会で、oviceを使わせていただいたんですね。「知るカフェ島」という架空の島にみんなが集まって交流する、そのようなコンセプトで行いました。その時にoviceの使い心地の良さを社員・学生スタッフ一同体感していたので、メタバース構想の時に一番に思い浮かびました。
構想期にはメタバース店舗でどのようなことを行うのかが明確に固まっていなかったのですが、oviceはレイアウトを含めカスタマイズ性に優れているという印象を持っていたので、安心して導入を決めることができました。
リアルの店舗に来店された学生に、「こういう取り組みを始めました」とメタバース店を案内するという形で浸透させています。アバターを移動させてスペース上で人に話しかけるというメタバース店の仕様は、「他の学生に声をかけやすい」「仲良くなりやすくなった」など、好評です。
リアル店舗では、友人と一緒に来店することはあっても、横の席の学生といきなり仲良くなることはあまりありません。しかし、メタバースでのコミュニケーションだと、相手の顔が見えずにまず音声から入る。もしかしたらこちらのほうが話しかけるハードルは低いのかもしれませんね。結果として、学生同士の繋がりが生まれていて、嬉しい限りです。
メタバース店には、全国の学生が訪れます。最初のうちはいきなり全国規模の交流はハードルが高いと思い、近隣に位置する大学同士でまずは話せるよう、テーブルに「関関同立」や「早慶」などのラベルを貼りました。
企業様には少しずつ案内をしていて、「面白い取り組み」とよく評価していただいています。まずはメタバース上で学生とコミュニケーションをとって、では次はリアル店舗で会いましょう、という流れを想定いただけることも、実店舗を持つ弊社ならではだと思います。
学生スタッフとのやりとりがスムーズになりましたね。先ほどお話した通り、店舗運営は全て学生スタッフが担っている関係から、私たち社員とは遠隔でコミュニケーションをとることが多くなっています。その際、ビデオ会議ツールだと、逐一MTGを設定したりなど面倒が多かったんです。
それが今では、「気になることがあったら話しかけて」という形で、ovice上で気軽にコミュニケーションをとっています。実際にカフェで一緒に作業をしているような感覚で、業務を進行できます。
ーレイアウトの工夫を教えてください。
学生と企業の方がコミュニケーションを取りやすいよう、少人数用の区間を多く設定しています。メタバース店でも、実際の店舗と同じ体験ができるようなレイアウトを心がけています。
不特定多数の人が集まる際のリスクヘッジは意識しています。全員が快適に使えるように、メタバース店の入り口に、ガイドラインのようなものを置いていて、「こういったことはユーザーの自己責任です」と明記しています。
また、全体に対して発信できるメガホン機能は学生スタッフ以外は使えない設定にするなど、皆さんが心地よく使える工夫をしています。
弊社はインド工科大学にもカフェを出店していて、そこの学生もメタバース店に遊びにくるんです。インターナショナルラウンジでは、海外に出づらい今のご時世で、自国以外の学生とコミュニケーションをとることができる貴重な場所になっています。
ビデオ会議ツールとバーチャル空間のoviceの違いは、「新しい出会いを作れるかどうか」だと思っています。
例えば、一定数までだったら大人数での会話はビデオ会議ツールでも行えることができます。オンライン飲み会は私自身も参加経験がありますし、慣れれば不自由なくコミュニケーションはとれますよね。しかし、ビデオ会議ツールを使ったコミュニケーションの場は、あらかじめ参加者が決まっていることが多いように思います。
一方oviceは、バーチャル空間を提供しているので、不特定多数を招くことができる。そこで、偶発的に新しい出会いが起こる。人と人とのつながりを大事にする私たちにとって、強い味方のようなツールだと思っています。
今後は、一日あたり100名が訪れる状況にまで成長させるのが目標です。
そのためのアイデアはいろいろあります。例えば、リアル店舗と同じように企業説明会やインターンシップの会場としてメタバース店を活用してみたいと思っています。
ビデオ会議ツールでは、参加者の動きはわかりづらいですが、oviceは違うので面白いですよね。このあたりは企業様のご協力あってになりますが、ぜひ実現したいと考えています。
また、「知るカフェ」スタッフのOB・OGにも訪れてもらいたいと思っています。彼ら彼女らも今は社会人で、学生に新しい選択肢を示せる存在になっているので、学生も刺激をもらえるのではと考えています。
さまざまな機会を用意し人を招いて、メタバース店を今後も盛り上げていきたいです。