多くの方が当たり前に使うインフラを、
皆さまと作って行くために

日頃からoviceをご利用いただきありがとうございます。
oVice代表取締役CEOのジョンです。

2022年7月末と8月初めの2回にわたり、大きな障害が発生しました。その原因についてご説明するとともに、ユーザーの皆さまに支えられ成長してきたサービスであるからこそ、今後も皆さまのご意見を伺いながらサービスの改善につなげるため、弊社の開発に関する情報を透明かつ正確に皆さまにお伝えしたいと考え、トラストセンターを正式に公開しました。ここでは、ovice開発の経緯や障害も含めたoviceの変遷、oviceが目指す方向性についてお伝えしたいと思います。

「オフィスに行きたい」という気持ちで作ったovice

2020年3月、私は出張先のチュニジアでロックダウンに遭遇。突然外出禁止になり、働いていた会社の現地オフィスに出社できず途方に暮れていました。オンライン会議ツールを使うことで仕事は進められるものの、「オフィスにいるような」感覚で勤務できない。雑談から生まれるユニークなアイデアや、隣にいる同僚の声が聞こえるからこそできていた連携が、リモートワークになった瞬間なくなってしまいました。オフィスに行けなくなったことで、初めてオフィスの価値を再認識しました。そんな私が開発したのが、オフィスに出社している時のようなコミュニケーションがバーチャル空間上でできるサービス「ovice」です。

サービスの着想から3か月ほどで形にし、改良を重ねて2020年8月にサービスをリリースしました。「オフィスに出社していた時のようなコミュニケーションをオンラインでも実現したい」という思いを持った皆さまに導入いただきましたが、この時のoviceは、例えるなら「飛行機を作ってみたものの、きちんと飛ぶかわからない状況で飛ばしている」ような状態でした。どのような不具合が出るのかも想像できなかったため、私自身が各スペースを巡回するというアナログな方法で確認を行っていました。そんななかで皆さまからのフィードバックをいただきながらサービスを改善しましたが、このまま開発を進めるといずれ大きな事故が起きてしまうということが見えてきたため、大幅なアップデートを決意しました。

大幅なアップデートにより、一時的にサービスが不安定に

2022年初には2000社近い企業・団体にご利用いただくサービスとなったovice。さらに安定感があり、強く、速いサービスにするため、年初から春にかけてバックエンドシステムを刷新しました。いつ事故が起こるか分からない状態を脱し、いかにサービスとして「安定飛行」を目指すかを考えた結果、機能追加などのアップデートにかけるリソースをとる余力がなく、また行ったとしても二度手間になってしまうため、バックエンドシステムの刷新に注力することにしました。刷新の際はサービスを止めることなく実施し、いわば「飛行機を飛ばし続けながら翼を付け替える」ような状態だったため、断続的に不具合が発生する時期が続きました。

しかしやはり持ちこたえられずに何度か障害が発生。ミーティング中に突然つながらなくなる、急に会議室から出されるといった不具合が発生し、ユーザーの皆さまには大変ご迷惑をおかけする日々が続きました。本当に申し訳ありません。

ほどなくして、システムを安定して稼働させることができるようになり、結果的にはレスポンスが最大100倍高速に、最大100人でビデオ通話をすることも可能になりました。2022年4月に実施した、大型イベント「oVice Fest 2022 Spring」では、このアップデートの成果により1つのスペースに700人近くの皆さまにアクセスいただくことができました。

「想定外」を乗り越え、より強固なインフラへ

このようなアップデートにより、oviceは以前より安定感があり強くて速いサービスとなりました。また、その後もアップデートの際は、エンジニアがあらゆる可能性を考慮しながらテストを行い、発見した問題は事前に対応してからユーザーの皆さまに公開しています。

しかし、毎朝6万人以上もの方々がどこかのoviceに「出社」するという大規模インフラとなった今、テストでは想定できなかったトラブルが発生する場面も出てきました。2022年7月末と8月初めに発生した障害も、こうした「想定外」により生じたものです。具体的には、あるスペースにアクセスが集中した際、必要のないデータを大量に読み込む設定となっていたことが、結果として全体に影響する障害を引き起こしました。また、障害が発生した際の体制や手順の整備が不十分で、原因を究明するためにエンジニアが1つ1つデバッグを行っていたため、復旧までに時間を要する結果となりました。詳細は、VP of Engineerのダーウィンが執筆したブログでもご説明しています。

この障害を受け、エンジニアチーム内で「飛行機を飛ばしながらトラブルの原因を探ることはせず、一旦引き返して対処する」体制を整え、障害発生時の手順の見直しを行ったほか、リカバリーシステムの構築も行っています。これにより、今後万が一障害が発生した際にも迅速に・最小限の影響でサービスを復旧させることを目指します。「今後、障害は一切発生させません」という無責任なお約束はできません。しかし、ユーザーの皆さまにより快適にoviceをご利用いただける環境づくりに向けて、全社を挙げて邁進してまいります。

そのために今後は、より透明性・正確性を高めるため以下の対応を行っていきます。事前にアップデート情報をお伝えするとともに、万が一障害が起こる可能性がある場合はお知らせします。不具合が起きた場合、しかるべき最速のタイミングで皆さまに情報をお伝えしていきます。今後も皆さまからの忌憚のないご意見やフィードバックをいただきながら、多くの方々に当たり前のようにご利用いただける「インフラ」を、皆さまとともに作っていきたいと考えています。

今後ともoviceをよろしくお願いいたします。

ジョン・セーヒョンoVice株式会社代表取締役CEO